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鶏鳴狗盗

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うんていおじさん 

 テレビに「うんていおじさん」という人が出ていました。御年62歳。「うんていにすべてをかけてきた」という人で、家には手製のうんていがあり、毎日それに取り組んでいます。

 自宅のうんていだけではなく、目に留まった様々な場所にあるうんていに挑戦し、その様子を「うんてい日記」に記録しています。その日記は「今日は途中で手が滑った、くやしい」とか、「ゴールが見えたところで油断してしまった」など、とてもコアな内容になっています。

 映画鑑賞が趣味で、VHSやベータのテープあわせて2000本以上を所有しています。おすすめは「プレデター」「ランボー3怒りのアフガン」「酔拳」だそうです。職業はマンション経営とありましたが、生活ぶりを見る限りそれほど裕福そうな感じではありません(失礼!)。

 番組の企画は、「長さ100mのうんていを誰が一番早く渡りきれるか」というものでした。うんていおじさんは、中学生(これまた独特な子なのですが)に負けてしまいます。「今後どうしますか?」と聞かれ「わたしにはうんていしかないから‥」とつぶやきリベンジに燃える、乞うご期待という感じでした。 

鶏鳴狗盗

 この番組を見て、「鶏鳴狗盗(けいめいくとう)」という言葉を思い出しました。昔、母親と砂浜に行ったときに、わたしの作った「直径30㎝の泥団子」を母親が見て、そう言ったんですよ。どこかで役に立つかも、みたいな意味だと教えてくれました。

 改めて調べてみました。『広辞苑 第四版』岩波書店。

(中国の戦国時代、斉の孟嘗君(もうしょうくん)が狗(ぬい)のように物を盗む者や鶏の鳴きまねの上手な者を食客としていたおかげで難を逃れたという故事から)ものまねやこそどろのようなくだらない技能の持ち主。転じて、くだらない技能でも役に立つことがあるたとえ。

だそうです。もう少し詳しく知りたいと思い、ネットで調べました。ざっくりまとめると、こんな話です。

孟嘗君という将軍が一芸ある人を厚遇したせいで、食客の数が数千人を越えた。中には何の役に立つ芸だかわからないような特技を持つ者もいた。剣や弓、木工の達人などはわかるが、こいつらはどう考えてもいらないだろう、という者も多かった。そんな食客をいぶかしみ孟に進言した家臣もいたが、孟嘗君はその食客たちを雇い続けた。そんな孟嘗君が政変でピンチに陥ったとき、彼を救ったのは武術の達人ではなく「泥棒のプロ」と「鶏の鳴き声の物まね上手」の二人だった。

ここから、どんな才能がどういう状況で役に立つかはわからない、という意味で「鶏鳴狗盗」ということわざが生まれたのだそうです。

 

 先の「うんていおじさん」はたぶん、今の社会では生きづらかろうと思います(ホントに失礼)。今の社会で求められる人材は、「英語」や「エクセル」や「ワード」の技能を持った人材です。「うんてい」ではありません。 

余人をもって代え難い技能 

 でも、「英語」や「エクセル」ができる人はたくさんいて、「いくらでも替えが利く」人でもあります。さらに言うと、経営者目線で考えると、「同じ仕事ができるなら一番賃金の安い人を雇う」ということになってしまいます。

 うんていおじさんは、きっと英語もエクセルもワードもパワポもできません(本当にごめんなさい!)。でも、「うんてい技術」に関しては、誰にも負けません。まさに、替えが利かない「余人をもって代え難い異能」の持ち主です。

 今年のぐるない荘に「都道府県パズルが好きすぎて、都道府県のピースを目隠しして口に入れただけでどの都道府県か当てることができる」という芸人が出ていました。彼も「余人をもって代え難い異能」の持ち主です。こういう「余人をもって代え難い異能」にもう少し敬意を払ってもいいと思うのです。

 そういう異能は、「ひょっとしたら、大事なところで役に立つ」かもしれません。

 

 わたしの直径30cmの泥団子を作る技術も「余人をもって代え難い異能」だと思うのですが、日の目を見ることはなさそうです。本気を出せばもっと大きな団子を作る自信もあります。「その技術がほしい」という方がいましたら当方まで連絡ください。 

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