読書生活 

本もときどき読みます

さびしさと死について  『定年後』楠木新

前のめりに生き、死ぬ

 日本人男性は世界一孤独なのだそうです。「仕事以外のサークルがあるか」という問いに「全くない」「ほとんどない」が16.7%と他国を大きく引き離し1位なのだとのこと。たしか2位は9%だったかな?(『定年後』楠木新さんより)。

 仕事一切関係なしのつながり‥。無理やり引っぱり出すなら、息子(中学)のバスケの応援の会と、学生時代の仲間。聞こえはいいですが(そうでもないか)、バスケの応援の会は、おそらく息子が引退したら自然解散するでしょうし、学生時代の仲間は数年に一度会う程度の仲です。

 だから、わたしも先にあげた「仕事以外のサークル」は、「ほとんどない」に入ります。わたしも孤独予備軍なのでしょう。

 定年後は長いぞ、一人で大丈夫か、とこの本はわたしに問いかけます。死ぬとき一人でいいのか、と。知ってます。定年後がすごく長いことは。信長の時代の倍だということも知ってます。以前、考えたからね。 

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 さびしいのはそりゃあいやです。ひとりでも平気だとは思わないし、ひとりで生きていく自信もありません。 

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 さっきの本では、その孤独を埋めるための方法をいろいろと教えてくれるわけですよ。「趣味を作れ」「勉強しろ」と。だけど、さびしさを埋めるために何かをする、という考えが、わたしには後ろ向きに見えて仕方がありません。そして、わたしはそういう考え方が嫌いです。定年後に備えて勉強するとか、サークルに入って活動するって、順番が逆だと思うんですよね。そんな気持ちで勉強して、そんな気持ちでサークルに入って、何が楽しいのかな?

 今を一生懸命生きる、今、全力で何かをする、そういう日々の積み重ねが結果的に定年後につながるものでしょう。人生って「出会い」だと思います。日々の生活の中で出会った人との間で何らかを生み出し、その人の心に「つめあと」を残す。すぐ忘れられるのはさびしいから。

 その結果、もし、老後一人になったとしても、一人で死ぬことになったとしても、わたしはそれを甘んじて受け入れます。

 さっき、「ひとりでも平気だとは思わないし、ひとりで生きていく自信もありません」と書きました。でも、「死」はこわくない。いつでもおどりこんでやる。 

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