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キュンキュンするおすすめ青春小説7選

 忙しい日々を送っていると、つい青春時代を思い出したくなります。負けたくない!と必死で走っていたあの頃、好きな女の子にどうしたら振り向いてもらえるか、そればっかり考えていたあの頃、友達と自分の関係性に悩んでいたあの頃。日常のストレスを吹き飛ばし、夢を追いかけていたあの頃を思い出すためのきっかけとして、青春小説を読みます。

 青春と言えば、「友情」「興奮」「胸キュン(恋愛)」この3つです。よってこの3つに各5ポイントを与え、計15点で評価します。どの作品も、あなたを青春時代に一瞬でつれていってくれること間違いなしです。では、いきましょう。

7.黄色い目の魚/佐藤多佳子 

海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて-。16歳というもどかしく切ない季節を波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。

   友情2☆☆

  興奮度1☆  

胸キュン度5☆☆☆☆☆          計8P

 重ための話が盛り込まれています。主軸は恋愛です。この小学生でも中学生でもない、ぎゅーっと締めつけられるような苦しさともどかしさは高校生特有のもの。木島とみのりの、お互いに強烈に惹かれあってるのに「好き」という言葉では単純に表せない関係が凄く好きです。似鳥さんが出てくるところから、ぐっと面白くなってきます。何度読んでもやっぱり👍

6.あと少し、もう少し/瀬尾まいこ

陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが…。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介、寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。 

   友情4☆☆☆☆

  興奮度2☆☆  

胸キュン度3☆☆☆          計9P

 中学駅伝の話。中学駅伝は全部で6区あって、1区から順に6区まで走者がその章の主人公となって話がすすみます。襷とともに視点も引き継がれるわけです。

 三浦しをんさん『風が強く吹いている』の中学駅伝版、ともいえるかな。箱根駅伝だけが駅伝じゃないぞ。全国大会だけじゃなく、こんな地方大会でもそれぞれにドラマがあるんだぞ、ということがよくわかります。がんばれ、みんな。がんばれ地方の青少年(少女も)。

5.くちびるに歌を/中田永一 

長崎県五島列島のある中学校に、産休に入る音楽教師の代理で「自称ニート」の美人ピアニスト柏木はやってきた。ほどなく合唱部の顧問を受け持つことになるが、彼女に魅せられ、男子生徒の入部が殺到。それまで女子部員しかいなかった合唱部は、練習にまじめに打ち込まない男子と女子部員の対立が激化する。一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課した。そこには、誰にも言えない、等身大の秘密が綴られていた。

   友情4☆☆☆☆

  興奮度2☆☆  

胸キュン度5☆☆☆☆☆          計11P

  自閉症の兄を持つ桑原サトルと、母を早くに亡くしてどうしようもない父親と暮らす仲村ナズナの視点で話が進みます。合唱曲「手紙~拝啓十五の君へ~」を地区コンクールで歌い上げるまでの少年少女の心の変化や、賞を取るという欲ではなく、大切な人へ届けるように歌ったところがとても心に響きます。サトルの心の葛藤も、自分への手紙によって明かされますが、切なくて、抱き締めてあげたくなりました(何様!)。歌の場面より、コトミの恥ずかしい写真のデータが入っている先輩のパソコンから、データを消去するシーンがズキュンでした。引用します。

「写真のデータは削除したけん」

「…写真、見た?」

「見とらんよ」

「見たっちゃろ」

「ほんとうに見とらん」

「ほんとうに見とらんと?」

「見とらんよ」

「なんで見らんやったと?興味なかったと?」

「ぐっとこらえたよ」←いいセリフです。

 この一年が、サトルにとって生涯忘れられない年になったことでしょう。そういうときって青春時代にたしかにあって、それはわたしにもあって(涙)。今でも思い出します。人には恥ずかしくてもう言えないけれど。

4.夜のピクニック恩田陸 

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を精算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

   友情8☆☆☆☆☆★★★

  興奮度3☆☆  

胸キュン度3☆☆         計14P

 女子高生が主人公。普段の日常を学校で過ごしているだけでは分からない、心の深い場所に隠されたものが、夜道を共に歩くことによって現れ、濃縮したものとなってあふれ出す。だからこそ、ただ歩いているだけなのに特別な時間に変わる。こういう行事、わたしのときもあったなあ。夜道をひたすら歩き続ける、歩いている最中は、いつまで歩かせるんだ!なんて思っていましたが、こんな友人たちに囲まれて一緒に歩けるなら、わたしはもう一度どころか二度だって三度だって歩きたい。

 胸キュン度が高いのか、と思いきや、この本の主題はなにものにも代えがたい友情です。友情ポイントは8点!中心人物の貴子と融は、ふたりともどこか孤独で不器用。そんなふたりを支えている友人たちの優しさと強さに、胸が熱くなりました。

 恩田さんの表現のクセが‥という方もいますが、それは個性です。わたしは好きです。

3.風が強く吹いている/三浦しをん 

 箱根駅伝を走りたい―そんな灰二(はいじ)の想いが、天才ランナー走(かける)と出会って動き出す。「駅伝」って何?走るってどういうこなんだ?十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく…風を感じて、走れ!「速く」ではなく「強く」―純度100%の疾走青春小説。

   友情7☆☆☆☆☆★★

  興奮度7☆☆☆☆☆★★  

胸キュン度2☆☆         計16P

 純度100%の疾走青春小説とありますが、その通りです。箱根駅伝がテーマですので箱根大好きな人におすすめです。主人公の清瀬灰二(はいじ)が箱根を走るために仲間を集めます。9人そろえますがあと一人足りない。メンバーがそろわないまま清瀬は4年に進級。

 もう無理か、とあきらめかけていたところに、目の前を二人の男が走っていく。逃げる万引き犯と追いかけるコンビニ店員。この万引き犯こそ高校陸上界のスター、走(かける)。走はスピードに乗ってぐんぐん追っ手を離していく。彼の走る姿に見とれる灰二。あいつだ。俺がずっと探していたのは、あいつなんだ。とうとう見つけた!追いかけろ!そしてチームに入れるんだ!

 清々しい、爽やか、そんな言葉がぴったり。

 いよいよ本番当日。清瀬は走に向かってこう言います。

「一年間、きみの走る姿を見て、きみと過ごしたいまは‥」清瀬の声は澄んで深い湖のように、走の心の中で静かに潤う。「きみに対する思いを『信じる』なんて言葉では言い表せない。信じる、信じないじゃない。ただ、きみなんだ。走、俺にとっての最高のランナーはきみしかいない」

 ああ。走の胸は歓喜に満ちた。このひとは俺に、かけがえのないものをくれた。きらきらと永遠に輝く、とても大切なものをいま、俺にくれたんだ。

 三浦さんの筆力はすばらしい。まさにプロの仕事。さらっと読んじゃいますが、これはすごい。

2.ボックス/百田尚樹  

天才的なボクシングセンス、だけどお調子者の鏑矢義平と、勉強は得意だけど運動は苦手な木樽優紀。真逆な性格の幼なじみ二人が恵美寿高校ボクシング部に入部した。一年生ながら圧倒的な強さで勝ち続ける鏑矢の目標は「高校3年間で八冠を獲ること」。だが彼の前に高校ボクシング界最強の男、稲村が現れる。

   友情7☆☆☆☆☆★★

  興奮度8☆☆☆☆☆★★★  

胸キュン度2☆☆        計17P

 興奮度ハンパなし!鏑矢と木樽の友情も涙ものです。天才的なボクシングセンスをもつ鏑矢、勉強はできるが運動がまるでだめな木樽、この対比的な二人を中心に、友情、恋、涙、力、青春にある全てのものをてんこもりにした小説です。あまりにもりだくさんなため、これも一巻で収まらず上下巻に分かれています。ボクシング以外の格闘シーンもあります。

 主人公は木樽です。恋心を抱く女の子と歩いていると、中学時代自分をいじめたやつらが前からやってきます。目をあわせないようにしますが、見つかりからかわれ殴られます。あまりに惨めな気持ちになって、心配する彼女に背を向けてその場を泣きながら去る木樽。「なぜ男らしく戦わなかったのか、たとえ負けても戦うべきだった、たとえめちゃくちゃにされても勇敢に戦うべきだった!」

 このベストキッド的な展開、どうですか?続き、気になりませんか?ここから彼はボクシングに愚直に取り組み、めきめきと力をつけていきます。格闘系の話が好きなあなたにおすすめです。悩みますね。やっぱりこっちが一番か。まじめな努力型とお調子者の天才型、この二人の対立軸は『一瞬の風になれ』と似ています。

1.一瞬の風になれ/佐藤多佳子

主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。信じ合える仲間、強力なライバル、気になる異性。神奈川県の高校陸上部を舞台に、新二の新たな挑戦が始まった――。

   友情7☆☆☆☆☆★★

  興奮度7☆☆☆☆☆★★      

胸キュン度4☆☆☆☆      計18P   

 各5ポイント、としておきながら、友情と興奮度で7ポイントつけてしまいました(苦笑)。まさに青春小説の王道です。陸上部、しかも人気の駅伝ではなく、100mと400mリレーの短距離種目の選手たちの物語です。100mの俊足ランナーが4人集まっても、全員の息が合わないとバトンは前に進まない、その緊張感がたまりません。努力型でまじめな主人公と、天才型でふまじめな幼馴染が力を合わせてリレーで強豪チームに立ち向かいます。
 不器用ゆえに人の数倍の練習量をこなし、本気で悩みかっこ悪くなってもやりきろうとする姿に、心が熱くなります。精神の限り体力の限りでぶつかる本気の姿には、心が震えました。

 友情、恋愛、家族愛・・・もりだくさんの胸キュン青春小説です。もりだくさんすぎて、3巻セットです。

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