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籠池理事長と吉田松陰 「世に棲む日々」司馬遼太郎

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今朝の新聞(朝日H29.3.24)を見ました。

 

 記事によると、

「~籠池氏は敬愛する幕末の思想家吉田松陰にも言及。設立予定だった小学校の名に首相の名を付そうとした理由を語った。「松下村塾が念頭にありました。同じ長州出身で以前から教育理念に共感していただいている首相に敬意を表したいと思った」〈至誠にして動かざる者は未(いま)だ之(こ)れ有らざるなり〉。誠の心で強く訴えかければ、相手は必ず動く。松陰が信奉していた孟子の言葉だ。~」

 吉田松陰びっくりしていると思います。完全なもらい事故ですね。

 吉田松陰、どんな人だったかと司馬遼太郎の「世に棲む日々」をぱらぱらとめくってみました。いつも多用しているウィキは今回は封印。読書ブログですから、本から引用してみます。

 「世に棲む日々」は全四巻、吉田松陰編(12巻)と高杉晋作編(34巻)の二部構成となっています。

 まず一巻P23

 「かたちは、心である」と文之進はよく言った。形式から精神に入るという教育思想の熱狂的な信奉者がこの玉木文之進であったのであろう。

 この、玉木文之進とは吉田松陰の先生です。ちなみに、松下村塾を開いた人がこの玉木文之進であり、松陰はそこの門下生でした。松陰は3代目の松下村塾の先生というか、松陰が開いた塾は別の松下村塾というか、ここは諸説ありというところのようです。

 「かたちは、心である」とあります。この言葉を「意味はあとから、まずは形から」と考えると、森友学園で幼児に教育勅語を暗唱させる行動と似てなくもないですね。

 次は一巻P131

自分はちかごろこう思っている。志操と思想をいよいよ研ぎ、いよいよするどくしたい。その志と思いをもって一世に跨(またが)らんとしている。それが成功するせぬは、もとより問うところではない。それによって世から謗(そし)られようとほめられようと、自分に関することではない。自分は志をもつ。

 吉田松陰自身の言葉です。「大きな志をもて」ということです。籠池さんはどのような志をもっていたのでしょうか。 

 二巻P98

こどもに読み書きをおしえる塾として「松下村塾」というものは出発している。はじめ、松陰のこどものころ、叔父の玉木文之進がやっていた家塾の名前が松下村塾であった。玉木文之進が藩の地方官になって村を出てしまってからは、そのあと、松陰の外叔の久保五郎左衛門が隠居してこの地に棲み、近所のこどもたちを教えていた。これも松下村塾といった。玉木時代も久保時代も、月給は無料であった。

 先ほど触れましたね。注目したいところは下線部です。無料です。これは籠池さん、見習わなければいけません。

 最後はP154 松陰が評定所で奉行とやり合う場面です。

「そのほう、先年、梅田雲浜が長州におもむいたとき、彼と面接いたした覚えはないか」

とよくとおる声で言った。

 松陰はそれに対してやわらかく受けた。正直に、「面接した」と答えるしかない。吟味役はすかさず

「なにを談合密議いたしたか、有体(ありてい)に申し立てよ」

といった。松陰の答えは明瞭で、なにも密談などはありませぬ、~とすらすら答えた。表情を少しもにごさずに松陰はこたえている。 

 その表情をみて、三人の奉行のなかには、この男はちがうのではないかと直感した者もいたらしい。

「だまれ、偽りをいうか」

と一段と声を張り上げたのは、吟味役である。証拠もあるぞ、梅田もすでに白状におよんでいるぞ、といった。~

 松陰はだまっている。書いたおぼえもない落文など御所に落ちていようはずがないし第一京にものぼったことがない、といった。

「私はつねに公明正大である自分をつらぬいてきたから、そういう陰でなす行為をやるはずがありませぬ」

と言った。

 このやりとり、証人喚問とよく似ています。与党の一人が籠池さんに「うそをついているだろう」と言っていました。笑えるほど、この吟味役と同じです。江戸時代ならまだしも、国会の場で「うそをついているだろう」なんてどうかと思います。そんな言葉をなげかけたところで、何の意味もないどころか、弾切れ感まる出しで見ていて悲しくなります。それにしても、あの籠池さんの落ち着きぶりには驚きました。過去の証人には、手の震えが止まらずサインができないという人もいたのに。あっぱれです。

 「首相夫人である昭恵さんが、名誉校長という事実上の広告塔として使われています。寄付金集めや役所対策に利用されていた公算が大です」と以前書きました。今回の証人喚問では、寄付金の真偽はわからないとしても、籠池氏の要請に対して昭恵さん付き職員を通して、国有財産審理室長から細かな回答が行われていたことは明らかになりました。「ゼロ回答だった。全く関与していない」と官房長官は強気ですが、多くの報道番組で専門家が述べている通り、一般人の要請に国有財産審理室長が回答するなどということはありえないわけで、まさに目に見えない力が間接的に働いたのではないか、とうがった見方をしたくなります。 

 とにかく、この一連の森友問題に関してはわかりやすい回答を求めていますが、「籠池さんがんばれ」とは少しも思っていません。今後の展開がどうなるのか、やじうま根性まる出しで見届けます。