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在日 「血と骨(下)」梁石日

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在日を考える

 

まさに血と骨

周囲のすべてを破壊し、さらにそれを集めごりごりとすりつぶし飲み下し、

自らの血と骨にする金俊平。圧巻。

天才も好きだけど、こういうとんでもないのもいいですね。

とんでもない。この人。

そのあまりの狂気に引き込まれます。

国、民族、世代…人間は意識の中で自分の居場所をどう形作っているのか、

自分と違う誰かを位置づける座標軸をどこに置いているか、

再考するきっかけを与えてくれました。

 

慶応大教授の小熊さんらが、在日二世についてまとめた本を出版しました。

その本の中で、在日二世についてこのように述べています。

 

「在日の二世の幼少期は社会的境遇にあまり差がない。小さな朝鮮人の集落の中で貧しい生活をして、父親が博打をうって、酒を飲んで荒れて、母親がなんとか生活を工夫してという、そのパターンは皆同じです」

 

この「血と骨」の著者、梁石日は、在日二世です。

この作品に出てくる金俊平は、梁さんの父親がモデルと言われています。

この金俊平、まさに小熊さんの指摘通りの人です。

 

先の小熊さんの本によると、金俊平たちのような、いわゆる一世といわれる人たちは終戦後も、自ら希望して日本に残った方というとらわれ方をされています。

本書の金は、敗戦後の混乱の中、自らの蒲鉾工場を立ち上げ、大成功しました。

(その後、とんでもないことになりますが)

しかし、成功した人はごく一部で、

帰りたくても帰れない人たちも大勢いたと思います。

ちなみに、本作は山本周五郎受賞作です。