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「悪人(下)」吉田修一 生きる 珠玉の名言集

 

 やってやるぞ、と思わされる名言を集めてみました。

 

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 無理やり漢方薬の契約をさせられた房枝。その額263500円(涙)。

郵便局に連れて行かれて、怖くて声も出せなくて。

家に帰るとマスコミが家に大挙して押しかけて来る。

どうやら孫が殺人容疑で指名手配され、居場所がわからないらしい。

マスコミに追われ、ぼろぼろになりながら、契約のくやしさを思い、孫の祐一を思いつぶやく房枝のセリフ。

 

しっかりせんといかんよ。

逃げとるだけじゃ、なんも変わらんとよ。

待っとっても助けは来ん。

このままじゃ、配給の芋を投げられて、それでも黙って拾っとったあの頃と変わりゃせん。

がんばらんば。

馬鹿にされてたまるもんか。

もう誰にも馬鹿にはさせん。

馬鹿にされて、馬鹿にされてたまるもんか。

 

契約を解除しようとその事務所の前まで来た房枝。

祐一を、自分を奮い立たせるためにつぶやくセリフ。

 

祐一、あんた、どこにおると?

何があっても、ばあちゃんはあんたの味方やけん。

あんたも正しいことしなさいよ。

あんたも怖かやろ?でも、逃げたら駄目。

ちゃんと正しかことばしなさいよ。

ばあちゃんも、負けんとやけん。

逃げたってなんも変わらん。

逃げたって、誰も助けてくれんとよ。

 

事務所の扉を開け、やくざまがいの連中に思い切って言い放つ房枝のセリフ。

 

年間契約なんて、する気はなかですけん!

取り消してください!

うちにはそげん金は、なかですけん!

取り消してくれんですか!

これまで必死に生きてきたとぞ。

あんたらなんかに、あんたらなんかに馬鹿にされてたまるもんか!

 

娘(石橋佳乃)を無残に殺された石橋佳男が、増尾(犯人ではないのだが)にくってかかるも軽くあしらわれる。

その様子をじっと見ていた、増尾の友人、鶴田のセリフ。

 

雪の中、増尾の足にしがみついとったお父さんの姿を見て、生まれて初めて人の匂いがしたっていうか、それまで人の匂いなんて気にしたこともなかったけど、あの時、なぜかはっきりと佳乃さんのお父さんの匂いがして。

あのお父さん、増尾と比べると悲しゅうなるくらい小さかったんですよ。

正直、お父さんが増尾に勝てるとは思いませんでした。

対決するその場でも、その後の人生でも、きっと勝つのは増尾やろうと思いました。

でも、それでもお父さんに、何か言い返してほしかったんやろうと思います。

黙ったまま、負けんでほしかったんやろうって思います。

 

石橋佳男が、増尾の友人鶴田につぶやくセリフ。

 

あんた、大切な人がおるね?

その人の幸せな様子を思うだけで、自分まで嬉しくなってくるような人たい。

おらん人間が多すぎるよ。

今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。

大切な人がおらん人間は、なんでもできると思い込む。

自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。

失うものもなければ、欲しいものもない。

だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。

そうじゃなかとよ。

本当はそれじゃ駄目とよ。

 

もう一度、増尾の前に立ちはだかり、最後の別れ際に一言。石橋佳男のセリフ。

 

可笑しかね?

そうやって生きていかんね。

そうやって、ずっと、人のこと、笑って生きていけばよか。

 

灯台で待つ祐一に思いをはせる光代のセリフ。このセリフが一番好きです。

 

祐一は灯台で私を待っている。

絶対に待っている。

これまでの人生でそんな場所があっただろうか。

私を待っている人がいる。

そこへ行きさえすれば、私を愛してくれる人がいる。

そんな場所があっただろうか。

もう30年も生きてきて、そんな場所があっただろうか。

私はそれを見つけたのだ。

私はそこに向かっているのだ。