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悪人(上) 誰が本当の悪人なのか…か

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 みんな、普通の人

 土木作業員の「清水祐一」

 祐一の祖母「房江」

 生命保険会社の外交員「石橋佳乃」

 石橋佳乃の父、田舎で床屋を営む「石橋佳男」 

 紳士服量販店に勤める「馬込光代」

 努める有名な旅館の御曹司「増尾圭吾」

 

この6人が主な登場人物です。

増尾以外は、普通の人です。

私のまわりにもこういう人、たくさんいます。

私だってこの小説に登場していてもおかしくない、それくらい、普通の人です。

 

この、増尾以外の5人は、人生の負け組といってもいい。

その負け組に感情移入して、多くの人はこの作品を読むのではないでしょうか。  

そして、唯一の勝ち組、増尾を敵視して読んでしまいます。

 

見栄っ張りな佳乃、不器用な祐一、ネガティブな光代…。

登場人物、みな性格は違えど人に飢えています。

認めてほしい、愛してほしい、そう願っています。

大金持ちの増尾ですらそうです。

その飢えが胸にしみます。

 

上下巻ですが、上巻は下巻のふりです。

ストーリーのクライマックスも、登場人物の魂の叫びも、

全て下巻に集約されています。

 

この増尾、人を嗤うんですよ。

人を馬鹿にしたり、見下したりは誰しもついつい普通にありますが、

増尾は違います。嗤うんです。

あざけってわらう。蔑んでわらう。

こういう人、見ていると、心がざらざらします。

 

お前は無力だ、お前には何の価値もない、

と言われているように感じてしまいます。

嗤われる側は、少しずつ気力をそがれ、みるみるしぼんでいきます。

社会にも、学校にも、こういう方、必ずいます

  

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