読書生活 

本もときどき読みます

ジェノサイド(上) 極上のエンタメ作品

 

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交錯する三つのストーリー

 この本の魅力を伝えられるかな。あまり突っ込まないで。大体こんな感じです。

アメリカ(ホワイトハウス)、コンゴ共和国、日本、この三か所で話が進みます。

 

 ホワイトハウス

 朝の定例会議に「ハイズマンレポート」という人類滅亡の可能性にふれた論文が提出された。その論文の最後の章に「進化した生物による攻撃」とある。一笑に付すバーンズ大統領に、「コンゴ共和国の奥地に新種の生物の存在が確認されたこと」「その生物は、人類存続の危機をもたらす可能性があること」という報告がされる。「一応駆除しろ」と大統領は指示を出す。

 

 コンゴ共和国

 現代医学では根治不可能な難病に侵された息子(現在リスボンで入院中)をもつ軍人イエーガーに、高収入の仕事の依頼が舞い込む。仕事内容は二つ。

  • コンゴ共和国の奥地に侵入し、感染力、致死率ともに高い新種のウィルスに侵された部族40人と、アメリカ人の人類学者を殲滅し、死体を撮影しデータを送信すること。
  • 見たこともない生物に遭遇したら、何も考えずに殺すこと。

「感染したら、どうするんだ」と質問すると、「完全な特効薬はないが、感染して一か月以内の早期なら治療薬がある。感染していない状態で服用しても何の問題もないので、任務遂行後飲むように」と、錠剤を渡される。未知の生物については、「一発で殺せる、君たちに危険はない。その生物の最大の特徴は、一目見たら未知の生物だとわかることだ。何も考えずに殺せ」やや腑に落ちないまま、闘病中の息子のためにイエーガーは任務に向かう。

 

 日本

 ウィルス研究者を父に持ち、現在創薬化学を学ぶ大学院生、コガケントが主役。ある日、父が病死しその数日後に死んだ父からメールが届く。内容は、

  • ここに書かれている住所のアパートに行くこと。
  • そのアパート内にあるパソコンを使ってある難病の薬を開発すること。
  • 一か月以内にアメリカ人がお前を訪ねてくるから、その薬を渡すこと。
  • 誰にもこの話をしてはいけない。

というもの。「お前の行うことはすべて盗聴されていると思え」と付け加えられている。聞いたこともない病気、一か月?盗聴?半信半疑でメールに記載されているアパートに行くとパソコンがあり、そのパソコンには、現代科学では作ることが不可能な創薬ソフトが搭載されていることがわかる。新薬を開発することの難しさは、創薬化学を学ぶケントには骨身に染みてわかっているケント。しかし、父からの伝言を無下にできない。ケントは、この創薬ソフトを使って途方もない作業に挑む。

 

 ホワイトハウス

 アメリカ人人類学者のピアーズの報告によると、その未知の生物は、

  • まだ3歳にも関わらず、わずか二週間で言語をマスターできる。
  • パソコンで意思の疎通ができる。
  • 40桁の素数の暗号を5秒で解読できる。

などの能力をもっていることがわかる。

 また、ピアーズと日本の科学者が連絡を取り合っていた形跡があり、その日本の科学者がピアーズに依頼された何らかの工作をしていたことや、その日本の科学者は病死したこと、その息子(コガケント)が今その仕事を引き継いでいることが判明する。

 そこで、FBIや日本の警察に、コガケントの確保に向かわせる。また、ピアーズは日本にいるコガ以外の人間ともコンタクトをとっている模様だが、なぜか特定することができない、とのこと。

 

 日本

 なぜか警察に追いかけられるケント。何事も一人で行わなければいけない、という父の伝言を守り、アパートで一人息をひそめていると、送信先不明のメールがケントに送られてくる。「今すぐパソコンを持ってそこから逃げろ!警察が踏み込んでくるぞ」。その指示通りに何とか逃げきり、事情も分からずネットカフェに潜伏することに。

 

 コンゴ共和国

 イエーガーが、コンゴ共和国奥地に住む部族の住む地点に到着する。40人の部族の中に、アメリカ人人類学者ピアーズを発見する。よく見ると、その膝の上に見たこともない生物が!銃を向けるイエーガーたちに、ピアーズは言う。「君には難病を抱えた息子がいるだろう。君の息子は助かるんだ。君の息子の病気の治療薬を、日本にいる私の友人が今懸命に開発している。また、この部族はウィルス感染などしていない。君たちは、任務終了後殺される。ウィルス薬と言われて渡された錠剤があるだろう。それは毒だ」肉に薬を振りかけて犬に与えると、すぐに口から泡を吹いて死んだ。イエーガーに難病を抱えた息子がいることを知っていた、ウィルス薬をイエーガーたちが持っていたことを知っていた、その薬が毒薬であることが判明した、何より、息子が助かる可能性がある、イエーガーに選択の余地はない。イエーガーにピアーズは続けて言う。「目的地は日本だ。日本には仲間がいる」

 

 ホワイトハウス

 イエーガーが裏切った?コガケントはまだ見つからない?何をやってるんだ(怒)。さっさと始末しろ!

 

 ざっと、このような感じです。大体あってると思います。これ、伝わってませんか?日本に向かうイエーガーと未知の生物。日本どころかコンゴからも絶対出さないとするホワイトハウス。ケントは警察から逃げ、薬の開発に成功するのか?イエーガーの息子は助かるのでしょうか?

 

 ところどころに難しい単語が出てきます。読み飛ばしていいと思います。読みましょう。下巻に続きます。ちなみに、2012年版このミステリーがすごい!1位です。