読書生活 think it over

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容疑者xの献身 衝撃的な結末

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海より深く、空より高い、献身的な愛

 まだ読んでいない人が羨ましいです。

 子連れのシングルマザー(母:花岡靖子 娘:美里)が、働いているクラブで知りあった紳士的で裕福な男性(富樫)と結婚します。結婚して、すぐ富樫は仕事を首になります。実は富樫、会社の金を横領して使っていたのです。クラブで使っていたお金もそれだったのですよ。その後、職に就くも長続きせず、靖子を殴り、美里を威圧し、金を奪い、しまいには靖子のクラブに行き金を前借りする始末です。靖子は何とか離婚し、住所も職も変えて富樫にばれないように生活を始めます。

 靖子の新しい職場は、町の小さな弁当屋です。裕福とは言えないまでも、母娘二人で幸せに過ごしていました。

 ある日、弁当屋に見覚えのある男の姿が来ます。富樫です。尾行され、アパートまで突き止められます。「また、よりを戻そうぜ」「ふざけないでよ」「お前が会ってくれないなら、美里のところに行ってもいいんだぜ」。そこにタイミング悪く美里が帰宅します。困った靖子はなけなしの二万円を富樫に渡し、「お願いだからもう来ないで、私たちを放っておいて」富樫は、「俺は、金をもらいに来たんじゃないんだぜ」そう言うと、美里の部屋のふすまをいきなり開ける。怯える美里。「お前たちは俺から逃げられない」「美里、いい女になったじゃないか。あと3年もすれば稼げるようになるぞ」    

 その時、靖子の後ろから大きな足音が。花瓶をもった美里が富樫の後頭部を思い切り殴ります。致命傷にはならず、興奮して暴れだす富樫。必死に抵抗する花岡親子。二人は、もみ合いながら炬燵のコードで富樫の首を絞めて殺してしまいます。我に帰る二人。自首するか?美里を一人にできるか?行かないでお母さん!私が殺したんだよ!何言ってるの!

 その絶体絶命のピンチを、隣の部屋に住んでいる男(石神)が救います。なんと石神は、帝都大学理学部数学科卒業の天才数学者(わけあって高校教師だが)だったのです。そこから、石神VS湯川の壮絶な戦いが始まります。湯川の説明は必要ないでしょう。あの福山です。

 花岡母娘を守るために石神が考えた重厚なトリックと、それを一つ一つ解き明かし真実に近づく湯川のやりとりに息をのみます。石神は、花岡親子の置かれている状況と警察の動きを確認、さらに湯川の思考すら先読みし、素早く手をうちます。いくつもの戦略を周到に準備し、進捗状況に応じてその中からベストの選択をします。しかし、しかし、じりじり追い詰める湯川!大ピンチの花岡母娘。石神は、最後の選択をします。まさに大どんでん返し。「感動」「鳥肌」「号泣」これらの言葉が安っぽくなるので、続きは読んでください。

 映画化もされています。花岡靖子を松雪泰子、石神を堤真一が演じています。こちらもおもしろいです。読書の習慣をつけたいな、と思っている方は、まずこの映画を見て、おもしろいな、と思ったら本書を手に取ってください。ストーリーがわかっていれば、おもしろく読めると思いますよ。原作のもつ魅力がぶっつぶされた悲しい映画は数多いですが、この映画は素敵です。石神は原作では頭が薄く達磨のような体型なので、堤真一とは少し違いますが、その演技はさすがですよ。

 本書は、確か2005年の直木賞受賞作です。

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