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付和雷同体質 『超国家主義の論理と心理』丸山眞男

「誰と親しくすればよいのか」という嗅覚に優れた方、います。私も苦手ではありません。自分自身の判断より、その場を支配している空気を察しようとします。その空気を醸し出している人を探しそういう人に判断を委ねようとします。私のこういう「付和雷同体…

冤罪と被害者遺族の悔しさの間で 『ドキュメント死刑囚』篠田博之

~死刑と向き合う~ 朝日新聞2017年5月20日朝刊です。 www.asahi.com 日本の死刑制度について、二人の識者が語っています。一人は関西大学法学部教授の永田憲史さん。もう一人は、英レディンス大学法学部専任講師の佐藤舞さんです。 永田さんは、世界…

『坂の上の雲』 司馬遼太郎

全8巻。司馬さんの作品の中では、一二を争うお気に入りです。日露戦争当時の日本を熱く描いています。 この時代の世界状況について、司馬さんはこう言っています。 19世紀からこの時代にかけて、世界の国家や地域は、他国の植民地になるか、それがいやな…

「オレを誰だと思ってるんだ」症候群 『街場のアメリカ論』内田樹

昨年退職なさった方が、この4月から関連会社に再就職しました。その方(Nさん)は我が社では出世した方で、退職時には相当な役職についていました。 しかし、そのぞんざいな態度と横柄な物言いで、部下からの信頼は一切ありませんでした。最終勤務日の退社…

毎年、仙台市とほぼ同じ人口が消えている 『自殺予防』高橋祥友

毎年、世界中で約100万人が自らの手で命を絶っています。この数は、殺人(約50万人)や戦争に関連する死亡(約30万人)を合計したものよりも多いとのことです。 日本の場合、主な自殺者層は青年と中年です。 青年の場合、 性格的な問題、家族との関係、衝…

この人、頭が少しおかしい(笑)『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』北尾トロ

フリーのライター「北尾トロ」さんが、日常生活の中にある「やってみたいけど、ちょっと勇気がいるよな」と、ついためらってしまう場面を思い出し、勇気を出してやってみた、そんな本です。 全部おもしろかったですが、特におもしろかったものを紹介します。…

願いが三つかなうなら 『輝く夜』百田尚樹

幸せな空気溢れるクリスマスイブ。恵子は、7年間働いた会社からリストラされた。さらに倒産の危機になけなしの貯金までわたしてしまう。「高望みなんてしない、平凡な幸せが欲しいだけなのに」。それでも困っている人を放っておけない恵子は、一人の男性を…

西郷どんは専用の睾丸入れを愛用していた 『翔ぶが如く』司馬遼太郎 

来年の大河ドラマの主役、西郷隆盛。西郷どんの活躍を描いた司馬作品が、この『翔ぶが如く』です。すでにこの作品は大河ドラマになっています。確かそのときの西郷は西田敏行だったかな。 この作品の中には、あまり知られていない西郷情報がつまっています。…

追い詰められたぎりぎりのところでも踏みとどまれるかどうかは、じぶんが無条件に肯定された経験をもっているかどうかで決まる 『悲鳴をあげる身体』鷲田清一

褒めてのびるタイプです、って自分で言う人いるでしょう。みんなそうです。みんな。 鷲田さんのこの本、名言がつまっています。ちなみに、哲学者で大阪大学の元学長という偉い方です。 人には肯定される経験が必要だと言います。肯定される経験とは何か。大…

嫉妬とは何か 『人生論ノート』三木清

1987年生まれの哲学者.。京大で西田幾太郎に学んだあと、ドイツに留学する。1930年、治安維持法違反で投獄される。その後活発な著作活動に入るが、再び検挙され、敗戦直後獄死。 なんと壮絶な人生でしょう。 「人間の本性は嫉妬である」と昔読んだこ…

生きる目的を探すために生きる 『司馬遼太郎が考えたこと 2』司馬遼太郎

すべての人が自由で平等であるべきだ、とのたてまえが当たり前になったのはつい最近のことです。人類は長い間、人は生まれながらに身分の上下があるという社会で生きてきました。身分制はもちろん今の常識に照らせばよくないですが、社会の安定には相当に貢…

この言葉は使わない方がいい 『書く力』 池上彰 竹内政明

池上彰さんは、NHKで記者やキャスターを歴任し今は大学の先生をなさっています。竹内政明さんは、読売新聞論説委員として活躍されています。この「言葉を生業にしている」お二人が書かれた文章執筆本。なかなかやります。 私たちが、モノを書くとき避けた…

長嶋や寅さんの悪口を言う人はいるのか 『態度が悪くてすみません』内田樹

確か、「白い巨塔」だったと思います。黒木瞳が唐沢寿明に別れを告げるシーンでした。これだけはっきりと覚えているのですから、おそらくあっているでしょう。 黒木瞳が、「みんなに好かれる人なんていない。なぜならそういう人(みんなに)を嫌う人が必ずい…

デブで汗っかきがモテる時代が来た! 『今すぐ書け、の文章法』堀井憲一郎

雑誌記者として活躍中の堀井さんが、「モノを書く」ということについて語っています。今まで読んできた文章執筆法とはかなり違います。豪快です。 ほめてもらいたい文章を書くな。漢字を減らせ。すぐに改行しろ。 こんな感じです。 また、 美しい日本語は茶…

太平洋戦争の時には暗号として鹿児島弁が使われたことがあるのだそうです 『深海の使者』吉村昭

「カジキサー。ヨシトシノオヤジャ モ モグイヤッタドカイ」 この意味わかりますか? 太平洋戦争当時、日本はドイツ、イタリアと同盟を組んでいました。しかし、ヨーロッパとアジアは遠く、その通信や物資の搬送は連合国軍に阻まれ、難しい状況に置かれます…

「無」の境地で妻を待つ 人を待つということ 『態度が悪くてすみません』内田樹

私はせっかちな人間で、人を待つのも待たせるのも苦手だということを以前書きました。 yama-mikasa.hatenablog.com 特に待たされることが嫌いです。「お前みたいなもん、おとなしく待っとけ」と言われている気がするからです。考えすぎですか?私だけじゃな…

誰かうちの娘を夜這ってくれ! 『菜の花の沖』司馬遼太郎

「若衆組」って知ってますか? 江戸時代から大正初期ごろまで、西日本にあった組織です。組織というと大げさですが、今でいう「消防団」に近いかな?一定の年齢に達した男子はみなその組織に入り、おとなになるための教育のすべてをうけます。 若衆組に入る…

宮本武蔵が機動隊を圧倒している 『宮本武蔵』司馬遼太郎

最先端のクローン技術によって甦った宮本武蔵が、武装した中国拳法の達人を一刀両断し、恐竜と同程度の戦力を持つ野人を退け、完全防御の機動隊員を盾ごと切り刻んでいます。週刊少年チャンピオン連載中の人気漫画「バキ」での話です。 実際の武蔵はどれほど…

仙人本ブーム到来 『九十歳、何がめでたい』佐藤愛子

『九十歳、何がめでたい』という本が売れています。 黒柳徹子さん、瀬戸内寂聴さん、冨士眞奈美さん、安藤優子さん、辻村深月さんも、みなさん笑って泣いて大絶賛。 御年九十二歳、もはや満身創痍。愛子センセイが放つ「いちいちうるせえ」ほか怒りの書 この…

長い修飾語は使うな!文章力が上がるちょっとしたコツ。 『「分かりやすい文章」の技術』藤沢晃治

句読点を上手にうつにはどうしたらいいか悩んでいました。 yama-mikasa.hatenablog.com いろいろな本を漁って調べているうちに、おもしろいものを見つけました。紹介します。『「分かりやすい文章」の技術』藤沢晃治さんです。 この本には、 要点を先に、詳…

『海の史劇』 吉村昭

戦前の日本の評判がよくありません。特に、昭和初期から太平洋戦争敗戦に至るまでの、日本の外交や戦略の酷さは目を覆いたくなるほどです。しかし、この『海の史劇』を読むと、これが太平洋戦争を引き起こしたあの日本と同じ国なのか、と首をひねりたくなる…

イチローも言ってるぞ!仕事は辛いんだ。『会社に行きたくないと思った時に読む本~心が軽くなる言葉90~』

「仕事は嫌なものなのだ」という持論をこのブログで展開しています。 yama-mikasa.hatenablog.com ところが、仕事にやりがいを求める人がいるのも事実でして… yama-mikasa.hatenablog.com 今日、コンビニで『会社に行きたくないと思った時に読む本~心が軽く…

どこに点をうてばいいの?

いつも文章を書くとき悩みます。どこに点をうったらいいのかな、と。うまい方法を調べてみましたが、決定打にかけます。 近現代文学専攻の石原さんは、 点は文節ごとにうつものではなく、意味のまとまりごとにうつものだ。 と言います(『大学生のための論文…

「君が代」が国歌になるまで 『司馬遼太郎の考えたこと 4』司馬遼太郎

内田樹さんの本で、このような記述を見ました(『日本辺境論』)。 国家は儀礼上必要欠くべからざるものです。「君が代」の歌詞も古歌のうちからなかなかよいものを選択したと思っています。旋律についてはどうしてこんな旋律になったのか経緯を教えてもらえ…

三島由紀夫の自決について、司馬遼太郎が思ったこと 。『司馬遼太郎が考えたこと 5』司馬遼太郎

司馬遼太郎(1923 - 1996)と三島由紀夫(1925 - 1970)、ともに日本を代表する作家です。司馬は多くの歴史小説を通じて「国民作家」と言われるまでになった大作家であり、三島由紀夫もノーベル文学賞候補にもなった作家であり思想家です。 同年代を生きた作…

誰でも書ける!読書感想文の書き方 『必ず書ける あなうめ読書感想文』

読書感想文が嫌いでした。本を読むのは好きなので、夏休みに入る前には毎年読み終わっていたのですが、夏休み最終日になっても、原稿用紙は白いまま。毎年でした。 あれから30年たちましたが、世の中には読書感想文という悪習がいまだに残っていて、私の息…

他者からの評価を仕事の目的にしてはいけません 『下流志向』内田樹

仕事に対する不満がたまっていた時期がありました。こんなはずじゃなかった、もっとやりがいのある仕事だと思っていた、そういう些末なものです。この思いにずいぶん苦しめられましたが、ある本を読み少し気が楽になりました。内田樹さんの『下流志向』とい…

『友達以上不倫未満』ってなんなんだ  恋に憧れるお母さんへ 『友達以上不倫未満』秋山謙一郎

浮気でなく本気、しかし決して男女の関係は持たない−そんな大人のプラトニック・ラブな紺外関係「背感ド・パートナー〉の実態を徹底取材。数々の赤裸々なケースが、男女間の愛と嫉妬の原理をもあぶりだす問題作。 だそうです。『友達以上不倫未満』秋山謙一…

「思う」について思うこと 上手な文章の書き方

文末を「思う」で締めるのはよくないと聞きます。「思う」は腰の引けた無責任な表現だと言われます。「です」や「ます」を使うようにハウツー本には書いてあります。 でも、自分の考えを常に「です」や「ます」、さらには「だ」などというような断定の文末で…

私の「せっかち」は遺伝でした。年を取れば取るほど、距離を置いているにもかかわらず親に似てくる。 

昔からせっかちで、人を待つのも待たせるのも嫌いです。私の周りにはのんびり屋さんが多く、いらいらすることばかりです。特に妻はのんびりでマイペース。彼女と結婚して15年以上たちますが、彼女を待っている時間の総量は凝縮すると私の人生の中の2年く…

仕事に行きたくないという方へ

会議で競争心まる出しの同僚に年若の前で反論される。きれどころのわからない上司の逆鱗に触れ、大勢の前で怒鳴られる。結論を常に先送りにする、あなたはほんとにその気があるの?と思わずにはいられない取引先。入社以降一切笑顔を見せない向かいの席の新…

こう書けば、少しは上手に書評が書けるようになるかも

「読書生活」などというブログを書いているくせに、書評が上手に書けません。「書いてあることを自分のフィルターを通して語る」これがよい書評だと思って書いていました。この「自分のフィルター」というのが個性の出しどころ、と思って書いているのですが…

新右衛門さんはもういないのか?

明治政府は、10年間という短期間でヨーロッパの文明を日本に無理矢理移植しました。廃藩置県、学制、徴兵令…。その中の一つに、四民平等がありました。武士も町民も農民もなし、みんな同じ、というアレです。今まで限られた人間にしか許されなかった姓(苗…

立ち上がらければいけない時は、立ち上がらなければいけません

私はそんなに怒りっぽい方ではありませんが、人間ですからたまにはドカンとしたくなる時もあります。でも、いい年したおじさんや老人が激高する姿は、見ていて気持ちのよいものではありません。 『「怒り」を消す』という題につられて、備瀬哲弘さんの『精神…

無人島から戻ってきたら、妻が他の男と結婚していた。

江戸時代、土佐を出た船が漂流し、とある島にたどり着きます。その島の名は鳥島。東京から600キロ離れた無人島です。船は大破し脱出できず、見渡す限り青い海。船は一艘も見えません。仲間は3人。 アホウドリが主食となりました。羽を広げると2mにもなる大…

今の日本は民主主義の成熟度が試されている 司馬遼太郎と三島由紀夫が1960年代の学生運動を見て感じたこと 

本を読んでいると、「あれ、これどこかで読んだことあるな」と思うことがよくあります。記憶をたどりつつ本棚をあさると、それは大抵同じ作家の場合が多いです。まれに、同じことを別の作家さんが書いていることがあります。そういう時、井戸を掘っていたら…

学生時代に読んでおけば今頃違った人生を歩んでいたかもしれない 「大学生の論文執筆法」石原千秋

文章の書き方のハウツー本かと思って読んでみたのですが、癖が強い(笑)!。大学教授である石原さんが、目の前を通り過ぎていった多くの学生と、彼ら彼女らが石原さんに提出したレポートへの憤りをもとに、文章の書き方を微細かつ具体的かつ愛情たっぷりに…

整形手術マニュアル  

百田尚樹さんの「モンスター」という本を読んで以来、整形手術について興味をもっていました。そこで、整形手術のマニュアルを作成するつもりで「モンスター」を徹底的に微細に注目しながらもう一度読んでみました。 1:手術前の顔 3:カウンセリング 4:…

剣の達人 「たそがれ清兵衛」 藤沢周平

「たそがれ」とか「うらなり」とか「だんまり」とかあだ名される冴えない男が主役。強さと情けを備えた魅力的な男であるギャップが格好いいですね。 どの短編集も、主人公の周りの人間の出世欲が凄い。これで対立軸がはっきりして、主人公のさえなさ加減が浮…

読書のすすめ 未来形の読書術「石原千秋」

どうして読書をした方がいいの? 先月だったか、「大学生の読書離れが進む」というような記事がありました。 記事によると、 1日の読書時間が「ゼロ」と回答したのは49・1%で、現在の方法で調査を始めた2004年以降、最も高かった。平均時間も24・…

美の最終形態 「モンスター」百田尚樹

田舎町でレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに酷かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そ…

猿は言葉を話せるのか 「言語の脳科学」酒井邦嘉

しつけられた犬は、飼い主が呼べば飼い主のもとに戻ってきます。昔、私が実家で飼っていた猫は、餌をあげる私の母以外の人間が呼んでも全く無視でした。ボールを投げたら、口にくわえて取ってきてくれる犬もいます。このような犬や猫は、人間の言葉が理解で…

自殺をしてはいけない理由 「手紙」東野圭吾

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪…

戦争の傷跡 「ゼロの焦点」松本清張

縁談を受け、十歳年上の鵜原憲一と結婚した禎子。本店勤めの辞令が下りた夫は、新婚旅行から戻ってすぐに、引き継ぎのため、前任地の金沢へ旅立った。一週間の予定をすぎても戻らない夫を探しに、禎子は金沢へ足を向ける。北陸の灰色の空の下、行方を尋ね歩…

書評家ってどうしようもない 「夢を売る男」百田尚樹

輝かしい自分史を残したい団塊世代の男。スティーブジョブスに憧れるフリーター。自慢の教育論を発表したい主婦。本の出版を夢見る彼らに丸栄社の敏腕編集長・牛河原は「いつもの提案」を持ちかける。「現代では、夢を見るには金がいるんだ」。牛河原がそう…

桜 「家守綺譚」梨木香歩

桜の季節になりました 百年前、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今一つ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭付き家つき電灯つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である 不思議な世界が広がっています。とにかく美しい。私は…

人に心を開くとき 「北斗」石田衣良

これはおもしろい 先日、新作ではないのに本屋に平積みされていて驚きました。ドラマ化されるようです。地上波でないのが本当に残念です。帯に北斗役の子の写真が出ていました。額に傷があります。至高(父)からドライバーでやられました。 両親から激しい…

「さまよう刃」 東野圭吾

強姦 許せない犯罪 長峰の一人娘、絵摩(15)が行方不明となります。数日後、荒川で死体となって発見されます。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躙された末の遺棄でした。何者か(共犯者)から密告電話がかかってきます。 実行犯は二人、名…

トランプ大統領の怖さ 「障害と子どもたちの生きるかたち」 浜田寿美男

迫る全体主義 多様な文化が共生できる社会を 「多様な文化が共生できる社会をともに目ざそう」と呼びかける名著。 障害をありのままに受け入れ、障害を一つの生きるかたちと考え、一つの文化として捉えることはできないか、筆者の浜田さんは、私たちにそう投…

テロと特攻の違い 「永遠の0」百田尚樹

娘に会うまでは死ねない 「娘に会うまでは死ねない。妻との約束を守るために」 そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一…